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旅の特集

#17

本当に日本一過酷な10マイルなのか確かめてきた!<佐多岬マラソン大会>

突然だが、近頃「日本一」「世界一」を謳うものが多すぎないだろうか。伊達ではないと思うが気の抜けないこのご時世…気になったので我が南大隅町の日本一を調べてみると、毎年12月に開催される佐多岬マラソン大会が「日本一過酷な10マイルコース」を掲げていた。おっと…!これは確かめに行かなくては。
ということで、さっそく実際の大会と同じ10マイルコースを走ってみた。なお、今回は過酷さを数値でも確認するため「獲得標高(走った時に登った高さの合計)」に着目してみることにする。

2025.9.5

本当に日本一過酷な10マイルなのか確かめてきた!<佐多岬マラソン大会>

佐多岬マラソン10マイルコース

佐多岬ロードパーク入り口から佐多岬公園駐車場までの舗装路を往復する10マイルコース。トレイルランニングのようにアップダウンの回数が多いコースレイアウトが日本一過酷と表現する所以なのかもしれない…。

いざ、スタート!

スタート直後はゆったりとした下り坂になっている。飛ばし過ぎにご注意を…。

気温10度、快晴、絶好のマラソン日和に大会と同じ午前10時15分にスタート。マラソン自体が非日常なのだが、何よりも本土最南端を走るという特別感が気持ちを高揚させてくれる。気分はイケイケだ!制限時間は2時間20分だが1時間50分を目標にスタートダッシュを決め込む!

ビロウやソテツに覆われた片側1車線の舗装路はマラソンコースとしては少し狭く窮屈さをイメージするかもしれないが、本番でもその心配はいらないだろう。高低図からも見てもわかるが、スタート直後から延々と登り坂が続くために走力の差が出やすく、大勢でスタートとしたとしても自然と一列になるはずだ。

まるで迷路やジャングルの中を走る序盤戦

何度コーナーを曲がっても既視感のある登り坂が延々と続く。無心で走ろう!

亜熱帯植物に囲まれたジャングルみたいにワイルドな道は佐多岬ならではだ。

ガジュマルなどの亜熱帯植物が頭上まで覆い茂る道を蛇のように蛇行しながらひたすら登る(いつまで登るんだろ…?)。カーブを曲がれども既視感ある道が度々現れる。迷路のようにどっちにどれくらい進んでいるのか分からなくなるが、そんな冒険感も他のマラソン大会では味わえない楽しみかもしれない。とはいえ思うようにペースが上がらず、若干不安になってくる…。

1つ目の頂上「岩崎隧道」

ようやく一つ目の坂の頂上に到達。ここまで約3.2km。頂上にあるトンネル「岩崎隧道」は1車線ほどの幅員(細い!)。愛媛県伊方町で開催される「佐田岬マラソン」は『日本で一番細くて長い佐田岬半島を走ろう』がキャッチコピーだが、コースの細さであればこちらも負けてはいないはず。

トンネルを抜けると一気に視界がひらけて東シナ海が見えてきた。右奥に見える岬が折り返し地点でもある佐多岬だ。ひたすら登り続けたため、ここからは超急こう配な坂を一気に駆け下ることになる。マラソンではスピードを落とさないように走るべきだが、この急勾配では足の負担も考えて慎重に…。

田尻海岸まで一直線に伸びる道は傾斜も景色も心地いい。

強風の田尻海岸を抜けて、本土最南端の地へ

左奥に折り返し地点の佐多岬が見えてきた。海から吹く風はなかなか強烈。唯一とも言える平坦路なので順位を上げるならここがポイントかも

海に突き出た岬状の場所は、障害物のない外海を抜けてきた風がまっさきに吹き抜ける。それゆえ強い海風が吹くのだ。周辺の樹木の偏形しているさまからも想像できる。

ここまで約5km。さらに登坂はまだまだ続くが打って変わってひらけた景色が気持ちいい。野性味あふれる「御崎山(みさきやま)」の先にある折り返し地点をイメージして走ると、終わりの見えない上り坂よりは幾分気持ちが楽かもしれない。

「サル!?」と驚かれるかもしれないが、周辺は国立公園であり、手つかずの自然が残されている。サルやイノシシなど野生動物が生息していて、冷え込む季節は道路上で日光浴するサルの姿も見られるのだ。

2つ目の頂上「本土最南端」で折り返し

31度線モニュメントの先にある本土最南端のカーブミラーを超えると折り返し地点に到着!一瞬だが目の前に広がる水平線を見るとつい見入って立ち止まりそうになる。この景色は何度来ても見慣れることがない。本土最南端である地理的特異点と遮るものが何一つない開放感のある景色がこの場所を特別にしているのかもしれない。ちなみに30度線は鹿児島県の湧水町、32度線も鹿児島県の十島村に位置するようだ。

…話をマラソンに戻そう。

もう終わったかのような雰囲気を醸し出してしまったが、まだ折り返し地点だった。佐多岬マラソンは基本的に往復路。登った道をまた下り、下った道をまた上る。然もありなん、である。

3つ目!?の頂上へ

田尻海岸手前から佐多岬ロードパークへ。

復路は「佐多岬ロードパーク」への登りが追加されていた。佐多岬ロードパークは以前は観光バスが走る道路だった。つまり景色を楽しむ景観ルートなのでカーブやアップダウンが激しい。斜度は最大で8〜10%はあろうかという激坂を右に左に曲がりながらひたすら上っていく(登山かな?)。徐々にそして確実に足と心が削られていく…。うぅ、なんでわざわざ上り坂を増やすんだ!!

……落ち着こう。毒づいてはいけない。たしかに正気の沙汰とは思えないが(いい意味で)、そもそもこのマラソンは過酷さが売りなのだ。より過酷さを楽しむための”アクセント”として用意されたに違いない。うんうん。酔狂にも思えるのだが、これを良しと思えるあたり自分もどうかしているのかもしれない。人間とは本当に不思議な生き物だ。

4つ目の頂上がクライマックスでした

見た目よりもかなりハードな急坂であることが伝わるだろうか。(壁かな?)
ここまでくると歩くランナーも多いらしいが大いに納得。もはや走っているとは言えない足取り。このあたりで声援の一つでももらえると「よし頑張るぞ」となるのだが、虚しいかな本日はお一人様である。温かい声援で動いたであろう脚が動いてくれない…。頼む…頼むよぉ。

なんとか完走!?

なんやかんやありまして、1時間52分07秒で無事完走。
いや…このタイムだとむしろ完歩かもしれない。

肝心の獲得標高(総上昇量)は「390m」。トレイルランナーや脚に覚えのある方はもちろん、うっかり走り方を忘れてしまったあなたにもおすすめしたい走りごたえのあるタフな10マイルコースだった。

それにしても、さすがに日本一は大袈裟だよと笑われるだろうか。
いや、それでも言おう。
南大隅町の佐多岬マラソンは「日本一過酷」だったよ!!

PROFILE

サザン・オウプナーズ取材班

サザン・オウプナーズ取材班

南大隅町の隅々にまで足を運び、実体験から生まれた言葉を通してまちの魅力をまちの皆さんと一緒になって発信していきます。

<次回予告>

次回は10月1日 (水)に「思わぬ大物と巡り合える!?秋の夕マズメ!南大隅で二人乗りカヤック釣行!」をお届けします。

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