五感を癒す刻が流れる渓谷の奥へ
雄川の渓谷に沿って歩く。川のせせらぎ、鳥のさえずりを聴きながら、森林浴のような気持のいいルートが続く。佐多岬同様に、行き交う人々との明るい挨拶も森と渓谷に響く。
ちょうど半分ほど歩いた頃だろうか、ふいに木々の間に視界が開けた。川のせせらぎは今までよりずっと近い。「清流のほとり」と呼ばれる休憩スポットに辿り着いたようだ。どこまでも透き通る流れに手(や足)を浸せば、火照った体のすみずみまで清らかな水が沁みわたっていくような感覚になる。
- 雄川の滝遊歩道
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「瀧見大橋」の直下や「清流のほとり」を経由し、道中の展望や休憩も楽しい遊歩道。渓谷に沿ってアップダウンを繰り返しながら滝へ続く、気持ちのいい森の小径
はるか昔から景勝地として愛された雄川
山あいをゆるやかに蛇行して南大隅町市街地を流れ、やがて錦江湾に注ぐ雄川。照葉樹の原生林が残る稲尾岳を源流とし、川の流れによってシラス台地を削り取って形成された川と滝の美しい造形は、薩摩藩が編纂した三国名勝図会にも描かれている。
山奥で静かに流れる姿は、形容しがたい美しさ
雄川の滝の落差は46メートル、幅は60メートルほど。流れ落ちる水の量は少なく、岩肌から湧き出る絹糸のような清らかな水流が神秘的なエメラルドグリーンの滝壺に落ちる。
滝壺の色は、季節や天候、太陽の向き、流れ落ちる水の量など様々な要因によって刻々と移り変わる。ときおり「写真とは違った」「エメラルドグリーンには見えなかった」という声も聞くが、条件がすべて揃ったときの滝壺の色はなんとも形容しがたいほど美しい。
だからこそ最高の条件を求めて足しげく通う人も多く、訪れる度に新しい景色や感動を与えてくれる神秘の滝なのだ。
- 雄川の滝
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落差46メートル、幅60メートル。切り立った荒々しい断崖と、エメラルドグリーンの水面をたたえる滝壺のコントラストが美しい
【スポット情報】雄川の滝